工事現場やイベントなど、企業でよく使われているイメージのあった発電機ですが、近年では山や海へのレジャーはもちろん、特に防災といった非常時への備えとして注目を集めております。
何故、防災に発電機が必要か?言わずもがな、近年の私たちの生活に電気は欠かせない、むしろ無いと何もできないのではないかと言う程密接なものになっています。
避難所などの照明・通信機器・冷暖房機器・調理機器・パソコン等々…災害が起きた時に電気が無く、これらが稼働しなければ、避難所の設置も困難を極め、復旧作業もなかなか進まないことが容易に想像がつきます。
自然災害が、過去に比べて大規模なものが頻発するようになっている今、重要な業務を中断させないための備え・損害を最小限に抑えながら業務を続行するための対策、略して『BCP(事業継続計画)』が注目されています。
そしてそのBCPには電気が必要不可欠となってくるため、BCPのための発電機を備えておくことが重要視されているのです。
目次
BCP(事業継続計画)用発電機とは
BCP(事業継続計画)とは、企業が自然災害、大火災、テロ攻撃などの緊急事態に遭遇した場合において、事業資産の損害を最小限にとどめつつ、中核となる事業の継続あるいは早期復旧を可能とするために、平常時に行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法、手段などを取り決めておく計画のことです。
BCP用発電機というのは、その計画を遂行するための発電機のことをさします。
BCPを策定できたら、計画を遂行するために必要な電力の確保を考えよう!
その備えに置いておくだけだから、一般家庭用なんて特に、小さいもので十分だろう?
いえいえ。そんなことはありません。
どんな用途の機械を発電機に接続するのか。
どれくらいの電力が必要になってくるか。
どんな場所で使うのか。
それらを考えた時に、必要な発電機はどれか、が見えてきます。
最適な発電機を選び、快適に使用するために、防災に備えるために、いくつかポイントをまとめてみたので、参考にして頂ければ幸いです。
発電機のタイプ選びのポイント
発電機を選ぶポイントがいくつかありますので、そのポイントについて解説していきます。細かいことですが、ここをよく理解しておかないと、間違ったものを選ぶことになりかねませんので気を付けてください。
発電機によって接続していい機器、悪い機器がある
ホンダの発電機には、
【正弦波インバーター搭載】・【サイクロコンバーター搭載】・【スタンダード】・【三相】この4つのタイプがあります。
マイコンなどの電子部品を搭載していない機器や、電動工具であればほぼどれでも大丈夫ですが、マイコン制御の電子機器や精密機器は、インバーター式のものでないと波形が不安定なため機器の方で不具合が生じる可能性もあります。
接続したい機器を確認し、必要な発電機のタイプを選びましょう。
正弦波インバーター搭載タイプの特徴とデメリット
正弦波インバーター搭載型は、発電された電気の周波数を整え、商用電源と同水準の良質な電気を供給することができます。そのため、高品質な電気を必要とするマイコン搭載機器にも接続が可能です。
●パソコン ●電子レンジ ●テレビ ●IH炊飯器 ●スマートフォンの充電
●電動工具の充電(リチウムイオンバッテリー)
自宅・事務所・避難所の防災用に考えるのであれば、インバーター搭載タイプ一択です。スマートフォンの充電やパソコンの使用が必須になると考えられるからです。
また、接続する機器が曖昧な場合なども、インバーター搭載タイプを選んでおけば間違いはないでしょう。万一他のタイプの発電機で精密機器を接続してしまうと、不安定な電流の影響を受けて壊れてしまいます。
このように、どのような場面や機器にも対応できるインバーター搭載発電機ですが、デメリットとして、他のタイプの同出力のものと比べるとどうしても価格が高いことがあげられます。
災害などが起きた時に、最低限でもどこに・何に電気が必要か。どれだけの電力が必要か。予算も考慮しながらになるかと思いますが、適切な必要出力を要した発電機を選びましょう。
サイクロコンバーター搭載の特徴とデメリット
日本では、東と西で周波数が違います。住んでいる地域によって、家電などは50Hzか60Hzの仕様のものになっており、東日本の家電(50Hz)を西日本に持って行っても使えません。その逆もまたしかり…。
サイクロコンバーター搭載の発電機はスイッチを切替えることでどちらかの周波数の電気を発電することができます。工事などで東西走り回るときには、どちらでも使えて便利です。
実は、インバーター搭載タイプでも切替は可能です。では、サイクロコンバーター搭載タイプの意義とは?と問われれば、インバーター搭載タイプと比べて【価格が安い】ことでしょう。
デメリットとしては、マイコン搭載機器を接続できないことがあげられます。
電動工具などのモーター使用機器・照明・ヒーターの様なマイコン非搭載の冷暖房機器など。マイコンを使わないのであれば、コスパに優れたサイクロコンバーター搭載タイプがお勧めです。
スタンダードの特徴とデメリット
スタンダード発電機では、マイコン搭載機器は接続できません。
50Hz、60Hzの切替もできません。購入の際は周波数の選択に気を付けて下さい。
できない、できないで、デメリットばかりに思えるのに、どうしてスタンダードタイプなんてあるの?と思うかもしれません…
マイコンを接続せず、DIYなどの電動工具しか使いません。発電機持って移動するつもりありません。
実はそんな方に断然お勧めなのがこのスタンダードタイプ!
コスパは最強のお手頃価格!2.3kVA辺りの定格出力のインバーター搭載タイプと比べると、お値段約1/2!
使える場面が限定的ですが、その分他タイプと比べるとお安いため、防災のシーンでもインバーター搭載タイプと一緒に2台持ちしても良いのかもしれません。
三相の特徴とデメリット
三相200Vの出力が可能で、大型のモーターが搭載されている機器に使用できます。
建築・工事現場・産業用設備の動力源として活躍できます。
また、災害時のBCP(事業継続計画)で、工場の産業用設備を動かしたい。インフラの即時復旧のための工事を行いたい時は、三相発電機が必須となってくるでしょう…。
まとめると
タイプ | 特徴 | 使用可能機器(一例) |
正弦波インバーター搭載 | パソコンやスマホの充電といった精密機器を接続するならこれ。家庭用コンセントと同様の高品質な電気を作ります。家庭用防災向けならこのタイプ。50Hz/60Hzの切替が可能。 | 電動工具・照明機器・パソコン・電子レンジ・スマートフォンの充電・テレビ |
サイクロコンバーター搭載 | インバーター式同出力の物と比べると安い。50Hz/60Hzの切替が可能。ただし、波形がキレイではないため精密機器には不向き。 | 電動工具・照明機器・ヒーター |
スタンダード | 電動工具を使用するDIYや現場作業におすすめ。サイクロコンバーター式よりもさらに値段はお手頃。ただし、周波数の切替不可。波形がキレイではないため、精密機器には不向き。 | 電動工具・照明機器 |
三相 | 三相(200V)が必要な大型モーターが使用されている機器にはこのタイプ。あらゆる建築・工事現場・産業用設備に活躍。 ただし、周波数の切替不可。波形がキレイではないため、精密機器には不向き。 |
電動工具・照明機器・コンプレッサー・ポンプ・産業用設備 |
消費電力規模から発電量の算出
消費電力で計算してはいけない!
発電機を選ぶ際の必要出力を、使用する機器類の消費電力を足した数字で決めてはいけません。
何故なら、電気機器は起動時に最も大きく電力を消費するからです(以下、起動電力と言います)
【起動電力】は、機器によって違いますが、消費電力の1.1倍から、大きいモーターのものだと4~5倍の電力が必要となるものがあります。
どうやって発電量の計算をして発電機を選べばいい?
先ほど上記で、消費電力の総合計で発電機を選んではいけない、とお伝えしましたが、かと言って起動電力の総合計で発電機を選ぶ必要もないのです。
なぜなら、起動電力はあくまで「起動する時に必要な電力量」なので、接続する機器の中で、起動電力が最も高い物から起動させ、その後順次他のものを起動させていけば良いからです。(もちろん、最初に起動させた機器の消費電力と2番目以降に起動させた機器の起動電力が発電量を超えると落ちます)
①災害時などで、常につけておく必要がある機器が何であるかを考え、総消費電力量と、一番高い起動電力量を算出する。
【常に接続が必要ではないかと思われるものの例】
→スマートフォンの充電・テレビなどの情報を得るためのもの・最低限の冷暖房機器・食料保管設備等々…
②たまに使用したいだろう機器の消費電力とその中で一番高い起動電力量を算出する。
→IH炊飯器・小型電気ポット・ドライヤー・電子レンジ等々…
①と②の合計電力量がわかれば、どの定格出力の発電機を選べばよいかの目安になるかと思います。
一番簡単な方法は、やはり起動電力の合計で選ぶことで、確実に余裕をもった発電機を選ぶことができると思います。なぜなら、災害などと言う未曽有のことが起これば、イレギュラーなことがいくらでも起こる可能性があります。被災された方は、心に余裕もない状態でしょう。発電機を起動させて、接続したものを一気に起動させることもあるのではないでしょうか。
持ち運びと設置
上記に書いた様に、発電機には様々な大きさの出力やタイプのものがあります。当然、それらによって大きさや重さも変わってきます。
家庭用防災向けの場合、
どうやってタイプを選ぶのが良い?
あなたが求めている性能は?
事業が様々ありますので、その事業によって必要な電力、電気の種類かが明確になってきます。今必要な電力を考えてみてください。すべての電気が必要でとはならないと思います。
パソコンや携帯電話などの通信環境なのか、冷暖房などの生活環境なのか、どの電力を確保するのかを考えてみてください。
また必要な時間も割り出す必要があります。一般的には大規模なものだとインフラが回復するのに3日~5日といわれています。停電なら半日から1日です。あなたがどのぐらいの規模を想定するのかも大切です。
確保したい事業の根幹はどこかを知る
多くの場合最低限の電力の確保を考えると思います。どの電力を確保するかを考えるのにどの部分を残すのかを考えてみましょう。
一例 オフィス
照明
昼間でも照明の必要なオフィスでは、十分な明るさを確保するために投光器があると便利です。
通信機器の使用
ルーターの電源さえあれば光電話や固定電話のインターネットが利用できる場合があります。
OA機器の使用
災害発生時の情報収集やオフィスの運営では、PCと複合機(プリンター)が必須です。
ITインフラの利用
UPS(無停電電源装置)以外にも、長時間の停電に備えることがBCPには重要。
従業員のスマホの充電
安否確認や刻々と変化する状況、交通機関や周辺の状況を知る情報ツールとして欠かせないスマホの充電は重要です。
暑さ、寒さ対策
気密性の高いオフィスでは、空調が止まると夏は熱中症のリスク、暖房設備のストップによる気温の変化が考えられます。
支え合いが必要な災害時だからこそ、企業として備えることができる地域貢献としての側面もあります。
そのような企業としての活動が事業継続を支える大きな力になることもあります。
一例 店舗
照明
非常時における商店は、地域のライフラインとしての存在意義があります。夜間でも十分な照明の準備が必要です。
レジ
災害が発生すると、水や食料、乾電池などを購入する方が来店されます。近年は現金ではなくキャッシュレス決済も増加しているため、キャッシュレス対応レジを準備しておくことが重要です。
パソコン・FAX・インターネット
災害発生時は店舗から在庫がなくなることもしばしば。パソコンやFAXが使えることで、スムーズな発注業務が可能になります。
冷蔵庫・冷凍庫
短い停電でも商品の品質劣化や食中毒のリスクなどが発生し、復旧時の営業再開に影響が出てしまいます。
ペット・アクアリウムショップ
冷暖房器具、えさを保存するための冷凍庫、水槽用のろ過装置やヒーター、クーラーなどの機器が止まると生き物の生死に繋がります。
一方で、店舗の側からは「レジが動かなくてたいへんだった」という経験談も多く出ています。
「大変なときこそ地域の役に立つ」という思いの実現に発電機は役立ちます。
一例 避難所
照明
電池式のランタンなどでは屋内では有効ですが、屋外やトイレ周辺には広範囲を照らす照明が必要です。
スマホの充電
充電コーナーの提供は避難所の重要な責務です。大人数の端末を同時に充電するには大容量の電源が必要になります。
暑さ対策
体調の悪い方が出た場合には快適に休んでもらう環境を提供することが大切。扇風機や冷風機、冷蔵庫の稼働は欠かせない。
寒さ対策
石油ファンヒーターやガス暖房機、カーボンヒーターなど、消費電力が大きく、利用には電気が必要です。
断水対策
電動ポンプが使用できることで、貯水槽や雨水タンクなどから水を汲み上げることができ、トイレや生活用水として活用できる。
本部運営
PC・プリンター・防災無線が使用できるとスムーズな避難所本部運営が可能になります。
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最低限の業務継続に(一例)
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